産業・組織心理学会とは

会長挨拶

第13期会長 池田 浩

 産業・組織心理学会は、1985年に発足して、2022年で37年目を迎えました。この間、産業と組織に関わる人の心理や行動の機序を明らかにする基礎研究はもとより、応用的で実践的な研究にも取り組むことで、企業の経営活動や働く人々に資する学術的な知見を数多く社会に発信して参りました。こうした取り組みが広がるにつれて、大学や研究所の研究者のみならず、企業や行政等に所属する実務家の多くが学会に参加し、現在は1200名ほどの会員を抱える組織にまで成長して参りました。

 「産業・組織心理学会」が大切にしている取り組みは4つであると考えています。

 第1の取り組みは、組織に関わる人の心理や行動を共通の問題とし、それを取り巻く問題やテーマを包括的にカバーするために4つの部門(人事部門、組織行動部門、作業部門、消費者行動部門)を設けていることです。4つの部門は、それぞれ年に1回部門別研究会を開催して、最新の知見や情報を発信しています。

第2の取り組みは、研究者に加えて、実務家の会員への支援です。実務家の会員が取り組んだ研究をまとめ積極的に発信しやすくするために、数年前に「産業・組織心理学研究」に投稿する新しい論文の種別として『実践報告』を設けました。また、2021年度からは、実務家の方々も研究活動を円滑に進められるよう、新たに「研究力向上セミナー」を開催するようになりました。

 第3の取り組みは、若手研究者への支援です。本学会では、かねてから大学院生や社会人院生など、研究を始めて間もない会員の皆様に、研究費を助成する「研究者支援」を行っております。そして、その成果の多くが、「産業・組織心理学研究」に掲載されています。

 第4の取り組みは、企業組織に役立つ情報を発信し続けることです。ご承知の通り、2020年から人類が直面している、新型コロナウィルスの感染拡大は、私たちの日常生活のみならず、組織で働く環境そのものを劇的に変化させました。リモートワークやオンライン会議など、働き方そのものが大きく変化し、それに伴って、様々な課題や問題が至る所で生じつつあります。こうした状況から、本学会では2020年5月に「ウィズ・アフターコロナにおける産業・組織心理学」という特集企画を立ち上げ、広く会員からの研究成果を募り、2021年7月にその特集号を刊行しました。

 今後も、産業・組織心理学会が、「産業・組織心理学」の学術的な発展を推進する中心的な役割を担うだけでなく、組織に役立つ研究成果を発信して社会還元に努めて参ります。

 今後も、会員の皆様はもちろん、企業組織の関係者の皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

2022年4月 第13期会長 池田 浩
(九州大学大学院人間環境学研究院)

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